ロールシャッハの歴史

私のいる大学院は臨床心理ですがロールシャッハを含む投影法は習いません。その理由は、まず、プログラムがResearch Orientedであること。それから、ロールシャッハ等の投影法は、信頼性、妥当性が存在しないテストであること、つまり、測定ツールが本当に『無意識』を測っているかどうか、というのは確立できない。なぜなら、無意識は測定できないものであるとされているから。また、過去の研究により、臨床家が予測するより、統計で予測した方が予測があたる、ということが知られていて、確かにロールシャッハによって得られる情報は重要かもしれないけれど、その採点や解釈にかかる膨大な時間や手間を考えると、もっと他のコストエフェクティブなテストを使用した方がいいという考えに基づいているから。もし、ロールシャッハやTATなどを習いたい、という人は、PsyDをとるための学校に行った方がいいかもしれません(たとえば、カリフォルニアではCalifornia School of Professional Psychologyなど)。



で、ロールシャッハの歴史だけど、昔はパーティーでやるゲームだったらしい。
インクブロットを持って行って、詩を作ったり、お話を作ったり。そこから、ロールシャッハが、統合失調症の人たちのVisual Distortionを調べるのに使えるのではないかと考えて出版しようとしたが、誰も相手にしてくれなかったそうだ。で、友達の友達の関係とかで、スイスの小さな出版社がやっと出版してくれることになったが、もともと40種類あったインクブロットのうち10枚しか出版できなかったそうです。お金がかかりすぎるから。しかも開発者本人は、37歳くらい(出版後一年!!!)で死んでしまい、出版社は売れ残りの本を抱えて倒産。その本がオークションにかけられ、別の出版社から出版されることになる。で、当時、ちょうどPsychoanalysisが台頭しているころで、『無意識』の測定に使えるのではないかと、応用、というか、誤用されはじめる。最初は統合失調症の研究ツールだったのに。