先週、カウチポテトをしていたところ、つけっぱなしにしていたPBSNHKみたいなの)から、私の大好きな曲(Eelsの、Trouble with Dreams)が流れて来たので思わず注意を向けてみたところ、BBC制作のドキュメンタリー、「Parallel Worlds, Parallel Lives」という番組が始まったところだった。

内容は、物理学者のヒュー・エヴェレットに関するもの。なんと、ヒュー・エヴェレットの息子が、アメリカのバンド、Eelsのマーク・エヴェレットだそうだ。一風変わっていた父親とは、家で交流することはあまり無く、最も父親に近づいたのは、父親がベッドの上で死亡したのを触って確認したときだったらしい。誰も「I love you」とは言わない家庭、鬱と統合失調症を患っていた姉は自殺(遺書には、『これからParallel Universeにいる父に会ってくる』と書いてあったそうだ)、母は癌で亡くなる。ああ、こういう経験があって、あんな、歌詞が生まれてくるのだな。

ヒュー・エヴェレットは、量子力学上大切な理論(「多世界解釈」)を提唱したが、「コペンハーゲン解釈」の重鎮、ボーアには相手にされなかった。アカデミアを去った彼はその後ペンタゴンで働く。心臓発作で51歳で亡くなった。その父親の生きた軌跡をたどるため、マークは旅に出て、父親の知り合いを訪ね歩く。

私は量子力学なんかこれっぽちも分からないけど、一時間そのドキュメンタリーに見入ってしまった。コペンハーゲン解釈、とか、シュレーディンガーの猫、についての、入門的な説明もしてくれる。

下の動画はドキュメンタリーの最初の場面。無神論者であったヒュー・エヴェレットは、死亡したらゴミとして捨ててほしい、と言っていたらしい。妻は、エヴェレットの遺灰を数年間ファイルキャビネットに保管していたが、遺志に従って、ゴミに捨てたそうだ。というのを、マークが説明している。

ただし、アメリカ向けの編集では、上記の説明はカットされていたように思う。そういうことを放映するとまずいと判断したのだろうか。ああ、おもしろい。


BBCのオリジナル

アメリカ向け