[サイエンス]相関は因果関係に非ず。

『休日に寝だめ」は逆効果=平日差大きいほど不眠、抑うつ−働く人の睡眠調査』
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007031700051

この記事とタイトルを読むと、寝だめが悪い、ように読み取れてしまうのですが、これは「実験」したのではなく「調査」したのみなので因果関係は成立しないと同時に、個人的には逆の因果関係(鬱、不眠が先に起こる)の方があり得るのじゃないかと思ってしまいます。

もともと寝だめしてる人を対象に調査しても、「寝だめ」が先だったのか、「鬱」や「不眠」が先だったのか分かりません。『平日に眠れないから休日に寝だめしてしまう』、『抑うつで気力がないから何もしなくていい休日になるとついつい布団から出られない』という、逆の構図も十分可能。

「寝だめ」→「不眠」「抑うつ」という因果関係を成立させるためには、時間的に「寝だめ」が「抑うつ」や「不眠」の前に起きていることが必要です。なので、「寝だめ」を実験的に操作(これが可能かどうかはまた別の問題・・・)して、被験者をランダムに「寝だめ平日差2時間未満」群、「寝だめ平日差2時間以上」群、「非寝だめ」群に振り分けて、前後の不眠、抑うつレベルを測定した、とかなら、因果関係に一歩近づくと思うのですが。あるいは、寝だめしている人たちを対象に、実験群として「寝だめをやめてもらう」群、「寝だめを続ける」群を作り、寝だめをやめることによって抑うつや不眠が解決されるかどうかを検討するのもよいかもしれません。

それから、ここでは測定されていない第三の変数が存在する可能性すらあります。

そういうわけで、科学論文の結果がメディアで紹介されている時は、気をつけて読みたいですね。自戒の意味も込めて。

追記:はてな内に関連記事発見
http://d.hatena.ne.jp/Iridium/20070317