今回のセミナーで驚かされたのは、参加者の年齢の幅広さ。その中にひとり、医者の人がいて、かなり年とっている様子だったのだけど、おもしろい質問をしていた。彼はchronic back painの患者を診察することが多いらしいのだが、何しろ「痛み」というのは主観的な経験で、客観的な測定がむずかしい。誰かが「痛い」といってもそれがどのくらい痛いのか、本当に痛いのか、よくわからない訳だ。で、彼は保険会社との裁判などがおこった場合に、患者がどのくらい苦しんでいるのか、というのをfMRIのデータを証拠として使う事はできないだろうか、と質問した。セミナ−の講師の側は、みな研究者であったため、この質問にはっきりと答えることのできる人はいなかったけど、面白い提案だ、とは思った。
それにしても今回あらためて、fMRIでは実際のニューロンの活動を測定している訳ではないというのを認識させられた。しかも、ニューロンが活動すると脳内の血流が増えるという前提でさえも、まだしっかり確立されていないのだ。